今回のちばてつや賞は、それぞれの作品に個性があり、テーマやメッセージがすごく伝わってきました。また、読めば読むほど味わい深い作品が多かったので、彼らの良さにちゃんと気づいてあげなければならないという意味で、私自身すごく責任を感じた回でもあります。力のある新人さんがまだまだたくさんいることを確認できて、安心しています。


大賞 準大賞 優秀新人賞
準優秀新人賞 佳作 期待賞
大賞 賞金100万円+YM2号に掲載決定!!
「宿題をしない人はキライ」と、大好きな田中さんにフラれたタクヤ。宿題をやればチャンスがあると、友達のシュウジにそそのかされるが、恥ずかしくて踏み出せない。でも、タクヤの兄が好きな女の子のためにダイエットし始めたのを見て、タクヤも宿題をやろうと決意する。
キャラクターもストーリーも演出も見事。画力もあり、完成度の高い作品。好きな彼女のために必死にダイエットした兄貴が、最後の日に見違えるようなスッキリした体になり、メガネもはずしたところはビックリ。シュウジが彼女と仲良くしてるところを目撃したタクヤが、呆然となるラストは上手い。
準大賞 賞金70万円
該当作品なし
優秀新人賞 賞金50万円
ガンに冒された柳田の妻に残された時間は、もってあと3ヵ月。悲しみに暮れる柳田は、40年前に幼き頃の妻と見た水色の花火をもう一度見せると約束したため、花火職人のもとを訪ねて、弟子入りを志願したのだが‥‥。
花火の製作過程などを細部まで調べてあり、作品に上手く生かしている。キャラクターの配置、シナリオの組み立てなど、すべてに気を配って創り上げようという努力がしっかり見える作品。水色の花火が大きく咲いて、妻が正気に戻るシーンは感動的。

写真専門店に勤める店長の山本はカメラが大好き。だが、他人と関わることに息苦しさを感じていた。そんなある日、神井という女の子がバイトに入ってくる。彼女と一緒にいることで、山本に少しずつ変化が生まれる。
他人の視線を恐れ、言葉を恐れ、こっそりワキからファインダーを覗くようにしか生きられない店長の山本は、現代の都会に生きる人の心を代弁しているようだ。職場では度々ありそうなささいな出来事を、心に響くドラマに仕立て上げた演出は見事。

別冊YM31号掲載決定!!
烏丸あずさは、気弱だけど性格の優しい岸田のことが大好き。でも、その気持ちを伝えようとすると、持ち前のSっ気が邪魔をして、いつも岸田をいじめてしまう。烏丸は、素直になれない自分を変えようと一大決心して、岸田を街に誘い出した。
自分の心を素直に出せない大柄な烏丸あずさと、気が弱く体が小さい岸田とのキャラクターのバランスがいい。何度も読み返すうちに、実に計画的な細かい演出が見えてきて、一コマ一コマが面白く楽しめる。ラストのセリフにはうなってしまった。

準優秀新人賞 賞金30万円
自分の部屋に幽霊のゆう子が住み着いたせいで、何かと手を焼いているタケイ。ある晩、彼が同僚の傍島と飲んでいると、一緒にいたゆう子の様子が‥‥。
主人公のキャラは明るくてかわいいし、背景なども巧みで読みやすい。幽体離脱が現実に起きる話はとても面白いが、幽界と現実の境目のルールが明確でないのは惜しいところだ。

全然いいことがない純平。フリマでジャケットを購入したら、裏に電話番号が書かれたレシートを発見する。気になって電話をしたら女の子が出てきて‥‥。
男と女の心の機微を上手く織り込んでドラマを創る演出は見事だし、ラストでほっとできたので、読後感も良好。爽やかな明るいキャラクターだったので、すがすがしく読める。

別冊YM31号掲載決定!!
童貞にして無職の緑川幸男は家に引きこもり、自慰を繰り返す自堕落な生活を送っている。生きる理由がないと悟った緑川は、ついに自殺をしようと決意する。
主人公の情けない生き様の日常は、将来に目的を失いがちな現代の若者達の気持ちを表現しているようで、説得力がある。超ドMの佐久間が警察官というのも上手い設定で笑えた。

武人は交際1年になる彼女といまだにHが出来ないことを悩んでいた。そんなある日、かたくなに拒む彼女を説得するため立ち上がったのは、武人のチ○コ!
「いつも我慢して生きているんだ!!」と怒る武人のフラストレーションの塊は説得力がある。男と女のSEXに対する思い込みのズレを吐き出すように素直に描けていて壮快な作品。

佳作 賞金20万円
熱量が素晴らしい。主人公の努力やひたむきさが一途に伝わってくる。動きのある絵が描けてるし、試合のシーンのリアルさに感心。

しっかり作りこまれた作品。読んでいて息苦しくなるような恐怖感があった。人間の負の感情をここまで描ける作家性に期待がもてる。

真っ直ぐな感情表現に好感が持てた。主人公の悲しみや憤りが上手く表現されているから、感情移入することができた。画力も高い。

期待賞 賞金10万円
細部まで丁寧に描き込まれていて、画力は素晴らしい。構図やシーンの作り方も上手。

不思議なツヤがあって、印象的だった。作者自身の体験が上手く作品に反映されている。

キャラクターの描き方に圧倒的な存在感がある。一度見たら忘れることの出来ない作風。